2015年12月1日火曜日

ヘンリー・ダーガー(Henry Derger)

1973年アメリカ・シカゴ、みすぼらしい一人の老人が街の貧民施設で死んだ。身寄りはない。寡黙で周囲との交流もなし。掃除夫をしながら長く安アパートで暮らしていた。アパートの大家が老人の荷物を整理中、たくさんのゴミ同然のがらくたに混じって、三百点以上の絵と古いタイプライターで打ち込んだ膨大な量の原稿(15000枚!)を発見する。

絵と原稿はその後「非現実の王国で」というタイトルで発表され注目される。「世界最長の物語」「世界一有名な無名画家」など、ヘンリー・ダーガーは一躍世界の人になる。81年の人生を費やして、黙々と、発表するあてもない作品を書き続けて死んだ。世に問いたい、そんな色気の微塵もない創作。芸術とか作品というよりも、ただ自分のためにだけ刻む。こういう創作もあるのだと。

略したら「ヘンダー」。とびきり変人の一生。



1126 Henry Derger

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