2016年12月28日水曜日

2016年12月27日火曜日

昭和の映画、特に時代劇やヤクザ映画などを見ていると、なんとも顔つきのアクの強さに驚く。浪人、チンピラ、親分、右翼の大物、企業家、政治家、黒幕…金と暴力と権謀が渦巻く世界の魑魅魍魎たち。黙ってそこにいるだけで強烈な存在感がオーラを放っている。こういう顔をもつ俳優がだんだんいなくなってしまった。


1220 Japanese actor Eijiro Tohno

1221Japanese actor Sin Saburi


1223 Japanese actor Nobuo Kaneko

1224Japanese actor Hohsei Komatu



2016年12月24日土曜日

年末の三連休。学校は冬休みに入り、会社も来週から休暇、ボーナスも入って、今年のクリスマスは週末と重なる。年末年始の楽しみも控えている。追い込みでやらねばならない用事もある。この時期はかきいれ時で逆に繁忙を極めるという人もいる。刑務所でも年末年始の食事は特別メニューが振るまわれ、受刑者も浮き立つ。もし国民総発熱指数みたいなものがあるとすれば、今日あたりがたぶんピークなのだろう。
こういう世間の熱に侵されないで、淡々と我が道をゆくひとは偉大なり。


1219 Japanese actress

2016年12月23日金曜日

昨夜は台風なみの暴風雨だった。家の外に立てかけてあった脚立や植木鉢などが倒れ、軒先に吊るし干しにしておいた傘が無残にもバラバラになっていた。今朝も風が強いが妙に生暖かい。天気とか、こういうどうでもいいことばかり綴っていると、いっそのこと書くのはやめて絵だけにしようかと思えてくる。嵐の夜、宮沢りえ主演映画「紙の月」を観たが、彼女はこんなに演技派だったかと驚いた。


1216 SAMURAI

2016年12月21日水曜日

微笑

アイススケートの選手を身近に見て、その体の小ささに驚いたが、筋肉はしっかりついていた。スポーツは一般的に体重が増えると不利だが、強い筋肉はほしい。筋肉はつけて、その分脂肪は極限まで絞ってという管理が必要で、しかも競技によっては見てくれも重要だから(体操やアイススケート、シンクロなど)、かなり厄介なことだろうと思う。筋肉は悲鳴をあげていても、顔はあくまで穏やかに微笑する…なかなか自虐的な世界だ。


1215 dancing

2016年12月20日火曜日

山は静かに

この時期、街なかはクリスマスの装飾や音楽で賑々しいことだろう。山でも、まれに庭に植えた樅の木に飾り付けを施した家も見かけるが、それは例外。限界集落なみに年配層が多いせいか、年末年始のよくある風景はここにはない。世間の流れはどこ吹く風と、まるで構わない様子が却ってすがすがしく感じられる。山は静かに暮れてゆくなり。



1213 wet hair

2016年12月16日金曜日

うつむく人

会社でも電車の中でも、人はうつむいてばかりいる。手職の職人、台所での炊事、農作業も、手を使う仕事は大抵うつむく。見上げる仕事というのは、窓ふきや電気などの検針、植木の剪定くらいはすぐに思いつくが、あまり多くないように思う。首の骨が逆に湾曲(前曲がり)している人が増えているそうだ。自分もひどい頭痛が出て、病院で調べたら逆曲がり、筋肉がこって頭痛が起きたと判明した。
今日はきれいに晴れて、風もない。12月の空は青く澄んでいる。空を見上げる時間というのはどれほどだろう。1日1分もありそうにない。「0.0007%未満の空」(1日1440分のうち1分として)か。存在の割には見向きもされない象徴みたいなものだ。


1209 Japanese actor

2016年12月14日水曜日

ああ暮れていく

起き抜けから腰が痛い。寝相のよい人は腰痛になりやすいらしい。寝返りが少ないので、内臓の重みが腰骨に負担になるとかテレビでやっていた。冬場は特にじっと小さくなって寝ているので、寝返りが減るのかもしれない。
ここ一ヶ月は日が飛ぶように過ぎていく。やり残したものが気になってきた。



1207 woman

2016年12月13日火曜日

馴染み

「いらっ…おや、久しぶり」声をかけられて、男は少し照れくさそうにしながらカウンター席に腰を掛ける。「どうしてたのよ?変わりなかった?」店主の問いかけに曖昧な笑顔で答えながら、周囲をざっと見回した男は、半年前と何ら変わりない店内の様子に安心感を覚える。この半年、男の身に起きた変化は小さなものではなかった。比較的平穏だった日常に落とされた一滴、それがきっかけとなって小さな揺れが起き、その揺れが些細な変化を生み、それがまた意外に大きな波紋となって新たな動揺を生む。「広ちゃん、心配してたよ」店主の口からおんなの名前を聞いた時、男ははっとする。変化をもたらした最初の一滴・・・男はそれを今の今まで別のことに思っていたが、それは間違いかもしれない。広子という女にこの店で出会った三年前、変化はすでに始まっていたのかもしれない。(短編小説ふう。続かず)


1206 man

2016年12月9日金曜日

先生

むかし、むかし、先生はこわいものだった。キッと睨まれると鳥も落ちるげな。




1204 woman

2016年12月8日木曜日

はらぺこ

家回りを縄張りにしているヒヨドリがいる。何匹も来るのでどれがそれなのか見分けがつかないが、たぶんそれぞれ個体ごとにテリトリーがあって、そこで餌を摂ったり、繁殖したりしている。どの時期にはどこに何の花が咲いて、どの蜜が旨いとか、どの実が食べごろだとか、そういうカレンダーも備わっているに違いない。いつもだとこの季節、白椿が順々に咲いて、その蜜を吸いに来るのだが、今年はその花が咲かない。それでも椿の木に止まってうろうろしながら花を探し、恨めしそうにキイキイ鳴いて行く。幸い、モチノキの実が赤くなったので、しばらくそれでも食べてくれ、と思う。その実がなくなったら、リンゴの皮を恵んでやろう。


1203 woman

2016年12月6日火曜日

西の風。窓が鳴って寒そうだが、気温は高め。昨夜、庭でかさかさ音がして、誰かいるのかと何度か窓の外を見た。今朝、木蓮の木が丸裸になっている。木蓮の大きな葉っぱが散る音だったようだ。孤独な山居の侘び住まい、誰か訪ねてきたのかと思ったら葉っぱの散る音よ、こんな歌があったかと思うが、思い出せない。



1122 dancing

2016年12月5日月曜日

描けない

 偉い人の絵を見ているうちに描けなくなった。啄木の歌にもあったな、こういうの。また描きたくなったらそのうち描くだろう。



1111 woman


2016年11月29日火曜日

純白

週末、東京に用事でクルマを走らせたが、まあこんな見事な富士山は滅多に見られないほどのものだった。真冬に雪が降ってもせいぜい上半分が白くなる程度だったが、今回は全身真っ白。裾野、御殿場にも積雪があったので、足元から頭のてっぺんまで白一色。純白の富士が青い空を背景に光っていた。運転中なので写真は撮れなかったが、急にクルマの流れが緩慢になったのはよくわかる。見慣れた富士でも、ぱっと目に飛び込んできた瞬間はいつも口が開くような気がするが、今回だけは特別だった。


1108 the mask of Noh, 'noumen'

2016年11月24日木曜日

2016年11月24日丹那降雪。気温が高めのようで、大きな牡丹雪。一時強く降るも、やがて雨まじりのみぞれになる。積雪は午前10時20分現在なし。箱根の山では積雪とか。ちょっとこういうことは記録しておこうということで記す。


1107 woman

2016年11月21日月曜日

もみじ

庭木のもみじが真っ赤になったので、小枝を折り取って花瓶に挿した。白い障子をバックに置くと、赤が映えて花が咲いたように見える。部屋の雰囲気がいっぺんに変わった。しかし数時間たって部屋に戻るとすっかり葉がしおれて無残なものだった。水を入れなかったのがいけなかったのか。
花の色以上に、紅葉は移ろいが早い。振り向けばもう色が変わっている、そんな感じ。誰かみたいな。



1102 womqn

2016年11月18日金曜日

喪中

喪中はがきが届く時期になってきた。そういえば、今年は一度も葬儀に出ていない。珍しいことだ。毎年のように、友人知人がらみの訃報でびっくりしてきたが、やっと今年で切れるか。このまま何もなく年を越せるといいが。
冠婚葬祭は簡素化の流れが続いていて、葬儀も身内だけですませたり、これもしないで火葬場で限られた人だけでお別れする「直葬」が増えているそうだ。終活ノートにあらかたの部分は記載したが、葬儀に関する希望はまだ書いていない。書いていないが、葬儀不要、戒名不要、墓は遺族の都合で勝手次第(自分としては墓不要、散骨可)でいいと思っている。集まれる身内数人で、故人が好きだった音楽でも流しながら、お茶でも飲みつつしばし偲んでもらえたら、それで十分。お経よりもそれがいい。


1101 woman

2016年11月17日木曜日

最終盤

丹那の紅葉も最終盤。落ち葉が山道を埋め尽くして、段差も分からないようになっている。葉っぱを踏みながら歩くと、樹上から野鳥の声が降り注ぎ、足元からは湿った枯れ葉の香りが立ってくる。この時期の散歩は生きていることの幸福感が沁み渡ってくる。
年内にこなさないといけないアレコレが気にかかってくる時期でもある。こういう追われるような気ぜわしさがないと歳末特有の気分が盛り上がらない。ハロウィンもボジョレーもクリスマスも、山ではどこ吹く風だが、せめて細々とした日常の用事だけでも数えて、歳末への心準備をしようか。


1031 woman



2016年11月11日金曜日

たわわ

こんな山でもさすがに静岡で、あちこちの庭に柑橘が植えられて、よく実がとまっている木も多い。いま住んでいる家にも、金柑、柚子、温州みかんの木がある。金柑、柚子は毎年実がなるが、温州みかんは昨年一個だけ初めて実がなり、今年は2~30個ほどもあるだろうか。湯河原あたりの海に面した南斜面のみかん畑とは条件が違うから、あまり甘くはならないと思うが、去年の一個は酸っぱいながら味わいは濃くて、なかなかだった。
世の中甘いものばかりが喜ばれるが、酸っぱいのももっと見直されてよいと思う。林檎もみかんも。


1027 woman

2016年11月10日木曜日

山茶花咲かんか

山茶花、いつもだと満開なのに、今年は小さな白花が一個咲いているだけで、それも散った。隣地の垣根も山茶花だが、これも花なし。昨日、散歩の時に注意して見て回ったが、どうやら丹那周辺はどこも同じようなもの。まれにぽつんと満開の木があったりするが、ほとんどは花がパラパラ。毎年当たり前のように咲く木でも、こういう年回りがあるのだなと。


1025 woman

2016年11月8日火曜日

変身!

帽子とマスク、これにメガネ。この3点セットは簡易な変身グッズとして、昔から顔の売れた人たちに愛用されている。マスクはかつては風邪ひきの時に使用したものだったが、最近はそうでもないようだ。花粉症対策や加湿による風邪予防などの実用もあるのだが、意外と多いのが「すっぴんでちょい外出」するときの素顔隠し。近所のコンビニにちょっと買い物に行くのにメイクするのも面倒、髪もくしゃくしゃ。こういう時にニット帽とマスクをかぶればOKというわけだ。若い子だったら吹き出物かくしでも使われているはずだ。男にだって隠したいものはある。誰も気にはしてないのだろうが。



1020 woman

2016年11月7日月曜日

山のパレット

11月7日丹那の庭木<紅葉だより>

イチョウ…やや黄変、山葡萄…緑葉と赤くなった葉が半々、シラキ…7分紅葉、もみじ…かなり染まってきた、木蓮…やや黄変、がまずみ…紅葉(赤い実がきれい)、カツラ…紅葉、ナツハゼ…半落葉、カリン…半落葉、コバノズイナ…紅葉、アオハダ…やや黄変 etc
今年はどういう加減か、山茶花や椿の花つきが悪いようだ。この花が咲くとメジロやヒヨドリが蜜を吸いにくるのだが。


1020 woman

2016年11月2日水曜日

雨あがる

昨日は午前中が雨。午後は一転して晴れる。静岡側から見る富士山も薄く冠雪、頭が白くなった。山道を歩くと、濡れ落ち葉や苔の匂いが立ち上がってくる。古代臭とでもいいたい時代の入った匂い。昔の土蔵や上等のワインもこんな香りがしたような…(遠い記憶なのか、そう書いてあったのか)。晩秋。


1101 苔むす桜

2016年10月31日月曜日

冬じたく

ストーブ、以前より時々使用。こたつ、先週末より使用。冬物衣料、ダンボールから出して天日干し中。毛布、不使用。扇風機、そろそろ仕舞い。寒暖差大きいが、お天気はしばらくよさそう。木々はだんだんと色づき始めた。早春と晩秋。年二度の山のにぎわい。



1019 actress

2016年10月28日金曜日

北林谷栄

元夫も画家、長男も画家。劇団民藝の創設メンバーのひとり。三十代から老け役。生活臭の染み込んだ「おばば服」は自前のもので、農家や漁村で実際に使われていたものを収集していたとか。2010年4月27日没。98歳。



1018 Tanie Kitabayashi

2016年10月27日木曜日

原精一

原精一の絵を見てからだ。描くのがいやになってきた。明治末期に生まれ、二度も戦地に従軍。昭和初期から末期にかけて活躍したこの画伯は多くの裸婦作品を残しているが、特に素描の迫力に圧倒される。この人の師匠が萬鉄五郎で、印象派絵画の先駆けのようなひと。棟方志功も萬のことを「首ったけ、惚れて」「仕方がないほど参って…」と書き残すほどの独創の奇才だったらしい。
才能は才能に共振し、新たな創作を生むということ。凡才は才能を前にただ沈黙するのみ。



1017 smoking woman




2016年10月26日水曜日

いかりや長介

2004年3月20日没。72歳。癖の強いひねくれ老人の役柄をもっと観たかった。だめだこりゃ。つぎ行ってみよー。



1015 Chosuke Ikariya

2016年10月25日火曜日

日本変人列伝九 左卜全

元オペラ歌手。役者に転身してからは存在感のある脇役として活躍。特に黒澤作品では常連として登場。服装には頓着せず、仕事場ではぽつんと独り、周囲との交流はほとんどなかったという。奥さんを教祖と仰ぎ、出かけるときはいつも一緒で、夫婦仲はよかった。死の前年、76歳で歌手デビュー、大ヒットとなる。異彩の芸風そのままのひと。1971年5月26日没。77歳。



1014 Bokuzen Hidari

2016年10月19日水曜日

山の景色

紅葉・落葉は桜から始まるようだ。もう半分ほど散った。山葡萄やツタ、ハデの葉が少し赤くなり、つい先日まで青々としていた落葉樹も、よく見ると黄変が始まっている。ここ数日の好天で紅葉が進んだ。部屋では扇風機とストーブが同居している。



1006 woman

2016年10月18日火曜日

白墨

チョークは石灰岩や帆立貝などを原料とする天然素材製品で、昔から馴染み深いものだったが、去年、代表的な製造会社の羽衣が廃業するというニュースが伝わった。学校を出てから長く目にする機会もなく、意識にのぼることもなかっただけに、逆にそういう専門メーカーが今もあったのかと驚いた。
チョークについて調べるうちに、これを使って描いた絵がいろいろと紹介されており、木炭画においてもハイライトを入れる画材になることを知る。一本手元にあればと思っていたら、調子のよいことにその一本が、ころっと山道に転がっていた。大工さんとか測量、工事関係者が落としたのだろうか。こんなこともあるのだな。やれありがたや。以来、色のついた用紙などで時々使わせてもらっている。



1005 woman

2016年10月17日月曜日

週末晴れ間が続いたので庭木の剪定をする。モクセイの枝を払うと中から鳥の巣がでてきた。小ぶりな巣だが小枝や蔓を使って割合しっかり編みこんである。小さな野鳥の巣はもふもふした柔らかいものが多いが、これは何が作ったのだろう。ヒヨドリかな。今日は朝から雨。



1004 actress

1017 nest

2016年10月13日木曜日

井上竜夫

味のある芸人がまたひとり去った。井上竜夫。2016年10月5日没。74歳。



1012 Tatsuo Inoue

2016年10月12日水曜日

笠智衆

実家は熊本の寺で、後を継ぐのがいやで俳優の道へ。名は本名とか。笠智衆。寡黙、朴訥、抑えた感情。1993年3月16日没。88歳。


1002 Ryu Chisyu

2016年10月7日金曜日

大滝秀治

優しげな顔立ちなのだが、この人の目は怖かった。大滝秀治。2012年10月2日没。87歳。



1001 Hideji Ohtaki

2016年10月6日木曜日

エイジング

何でもない木の机でも、長く使用しているとあちこちに傷がつき、角も丸くなってすり減り、塗装も剥がれ、ススや手垢がついてまだらになり、見すぼらしい姿になるが、見ようによっては何ともいえない歳月の味わいというものを感じる。アンティークや古物骨董の世界ではわざと使用感や時代を人工的に出している贋物も多いが、本物の年月の味というのはやはり人の手の及ばない長い長い時間の技が必要になる。

咲き始めの花は誰が見ても美しいが、すぐにしおれる。しおれて色あせて、褐色のシミが増えてくると誰も見向きもしなくなるが、そこにもひっそりと美が滲んでいる。陽の光や雨風にさらされ、昆虫たちに食いちぎられて穴があき、もう水を吸い上げるちからも衰えている夏の老い花たち。

古ぼけた歳月の果実。そういうものが周囲にあると妙に空間が落ち着くように感じる。



0929 DAIHATSU2015

2016年10月3日月曜日

三味線

また三味線の皮が破けた。去年の5月に張り替えてから16ヶ月。少し早いような気がする。最近稽古をさぼっていたし、この頃の雨もよくなかったのだろう。三味線の皮は熱と湿気が大敵で、暑い車中などに置くと一発でだめになる。毎日のように弾いて皮に刺激をあたえるほうがよいそうで、仕舞いこむ時間が長いと破れやすくなると聞いた。このあたり、つくづく三味線は生き物だと思う。かわいいペットのように毎日抱いたり撫でたり扱うべきなのだ。
三味線の皮で一番いいのはやはりネコ皮(それも妊娠経験のないメス猫が上等)だが、自分が普段使っているのは犬皮。ネコよりも丈夫で値段も少し安い。しかし動物愛護の問題でこれも海外からの供給が細っており、最近は新たにヤギ皮を代用にするようになってきたらしい。バチは象牙やべっ甲が使われていて、地唄などに使われている先が八の字に広がった総象牙のものだと、バチ一本で普通に百万以上する。糸は消耗品だが、これも絹糸だから動物由来。ネコや犬、象牙にべっ甲、絹の糸、ある種の人たちから見たらなんと罪深い楽器であることか。そのうち非合法扱いになるかもしれない。



0928 old woman

2016年9月30日金曜日

2016年9月初体験

よく降った。今日もまた雨らしい。9月も今日で終わる。この9月、生まれて初めて入院というものを経験した。1日だけの検査入院だったが、絵にも描けない体験をした。手術室に入ったし、車椅子にも乗せられた。点滴下げて廊下も歩いた。病院では普通に見られる光景だが、自分がやるとちょっと誇らしげな気持ちもした。点滴スタンドを押しながら寝巻き姿で1階まで降りると一般外来があるが、「ほらほら見てよ。オレ入院だよ。そこ通してくれる」みたいな、外来患者より一段上にいるような気になった。あれは何だったのだろう。
病院は外界とは違う不思議な世界だ。本人確認のために、検査や投薬のたびに「お名前と生年月日」を言わされる。単なる情報処理のタグ扱いだ。看護師や担当医が向こうからやってきて気遣われ、上げ膳据え膳で遇されるかと思えば、検査室内では医師や助手のいいなりで、完全に物体になったような思いにさせられる。デリカシーなどという曖昧・複雑なものはここでは無視される。局面ごとにポジションが上がったり下がったりで、定まりがない。本格入院となると病気の名前や程度ごとに患者のヒエラルキーもあるのだろう。
今回は「チラ見」だったが、病院という不思議ワールドの一端を見た。もう見たくないが。


                        もう勘弁…
0927 old man



2016年9月28日水曜日

匂いの記憶

街なかを歩いていて、ふと漂ってきた匂いに昔の記憶が鮮やかに蘇ることがある。記憶を呼び覚ます匂いには色々あって、油や煙、ドブ、公衆便所といった悪臭の類いから、香水、食べ物、飲料、花などのよい香り、印刷屋、かばん屋、青果店などにある商売特有の業種臭もある。最近は感じなくなったが、役所や郵便局には特有の匂いがあったし、家電店には機械臭が漂っていた。職員室の匂い、体育倉庫の匂い、講堂の匂い、みんなそれぞれ違っていた。この記憶の再生がまた独特で、昔のある瞬間の、その時の映像や感情が、ナマナマしく飛び出してくる。どうしてこんなことを憶えていたのか、と不思議に感じるような片々たる記憶だ。
匂いの記憶は他の感覚器官とは情報処理の回路が違い、脳の記憶庫に直接焼きこむ仕組みになっているそうだ。思い出そうとして思い出すという意識的な記憶再生ではなく、瞬間的に蘇る感覚はこのあたりに理由がありそうだ。

あちこちの庭から金木犀の香りが漂い始めた。



0916 woman

2016年9月21日水曜日

台風

寝ているあいだに台風は熱低になって行ってしまった。昨夜、雨戸を閉めると部屋は真っ暗。外の風の音も遠くなって、雨の様子も知れないまま早めに寝たが、朝、周囲の様子を見る限り拍子抜けがするほど影響なし。今日はしばらくぶりに青空が見れるか。少し薄日が射してきた。



0906 woman
                                        

2016年9月16日金曜日

停滞

最近、意欲がわかない。ずっと天気も悪い。夏にも疲れたが、こう毎日どんより渋った天気も滅入る。季節の変わり目は体調もぱっとしない。ぐずついている。気分転換に映画「シンゴジラ」を観る。辛気臭いメンタルやストーリーものではないので2時間よいスポーツ観戦をしたような気分になれた。どの人物にも感情移入しないで、破壊と戦闘を傍観する。今回も無茶苦茶しよるなァ…と。政治家はそれほど苦悩しているように見えなかったが、その方がリアルなのか。



0903 woman

2016年9月6日火曜日

ほう…

自筆でものを書く機会が減っている。日常の連絡や通知はもちろん、会社の書類、伝票、スケジュール、メモ、年賀状など、かなりのことがパソコンやタブレットなどで片付くようになっている。あの人はこんな字を書くのか、たまたまナマの字を見る機会があって新鮮な驚きを感じることもある。一度もナマ字を見たことがない人も多い。字がヘタでもハンデになることも少なくなったので、習う人も減っていることだろう。ここ数十年で書の地位は随分失墜した。

ちょっと前まで書は人なり、教養の第一歩であり、嗜みであり、道であったから、よい字が書けることはそのまま「ひとかどの人物」を意味した。衣装を飾り立てて威を張るのは金があればできるが、内面の充実やレベルの表現に、書は大きくものを言った。

昨日、日本の書道をユネスコ文化遺産に登録申請するよう文化庁に要望書が提出された。



0901 man