2016年2月15日月曜日

週末に葛西善蔵の作品を読み返してみた。ほぼ四十年ぶり。「子をつれて」「兄と弟」「贋作」などの短編。本人の等身大かと思われる主人公は三人の子供を抱え、創作活動と実生活の困窮の狭間で苦しむ。家の追い立てをくったり、親族や妻の実家に支援を要請したり、金策に悩み行き詰まっていく様子が息苦しく綴られる。冷たい雨が路面をうつ夕暮れ時の街角、ひとりの男が肩を落とし足元を濡らしながら、とぼとぼと薄墨色のもやの中に消えていく…そんな暗い絶望感が漂うエンディングばかりだ。重い。すっかり毒にあたってしまったようだ。



0204 a man

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