2017年6月27日火曜日

将棋

人工知能に名人が負かされたり、カンニング疑惑で騒動が起きたりと、暗雲が垂れ込んだような状態が続いた将棋界に、天才中学生棋士が登場して、すっかり風向きが変わった。対局の度に大勢の報道陣がカメラ担いで押し寄せ、フラッシュの瞬きに続いての集中インタビューなど、凄まじい事態になっている。本人も気の毒だが、対戦相手はヒール役を引き受けた形で、あれでは感想戦にも身が入らないだろう。大きなタイトルがかかった勝負ではしばしば見られる光景だが、平場の対局では異例のことだ。
人間と人間が勝負をかけて、10時間以上も脳髄を絞りぬいて戦っているのであって、勝負がついたあとは、勝者と敗者のそれぞれに、しばしの空白と虚脱、安堵と自責、昂ぶりと制御など、どうしてもそこにしばらくの「静寂」が必要なのだ。そういう世界の勝負事なのだ。野球のヒーローインタビューも悪習だと思うが、将棋の世界に劇場型のスポットライトを持ち込むのだけは勘弁してほしい。


        静かにせんか!
0621 old man

0 件のコメント:

コメントを投稿